記事更新日:2026年10月28日
記事公開日:2026年10月28日
中期経営計画(中計)の資料は、3〜5年後に会社がどこを目指すのかを、投資家や社員、取引先に伝えるためのものです。数字の目標と、そこへ向かう道筋の両方を、限られた枚数で納得してもらう必要があります。
中計の作り方を解説した記事は多いものの、スライドの見た目を実例で見比べられるページはあまりありません。そこで実際の資料を並べてみると、中計のスライドは「何を主役にするか」で作りがはっきり分かれます。目標の数字なのか、成長のグラフなのか、フェーズの道筋なのか、方針やビジョンの言葉なのか、です。
この記事では、スラデザに集まった中期経営計画のスライドを4つの型に分け、実在企業のスライド12枚とあわせて解説します。すべて上場企業の中期経営計画・事業計画及び成長可能性に関する事項などから集めたスライドです。
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中計の資料は、ビジョン、基本方針、数値目標、重点施策といったページで構成されるのが一般的です。スライドのデザインもこのページごとの役割に沿って分かれ、大きく次の4つの型にまとまります。まずは全体像を整理しておきます。
| 型 | 得意なこと | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ① 数値目標を並べる | 実績と目標の数字を、表や箱で正確に見比べてもらう | 財務目標・数値計画・計画の修正 |
| ② 成長グラフで見せる | 伸び方の大きさを、棒グラフと成長率で直感的に伝える | 売上・利益計画・CAGRの説明 |
| ③ フェーズ・ロードマップで示す | 目標までの道のりを段階に分けて見せる | 中長期ロードマップ・成長ステージ |
| ④ 方針・ビジョンを打ち出す | 数字の前に、目指す姿や戦略の柱を言葉で伝える | ビジョン・基本方針・資料の扉ページ |
中計で最も基本になるのが、財務目標を数字で示すページです。グラフにせず、実績と目標の数字を同じ形の箱や表に入れて並べるのがこの型です。「売上いくら、利益いくら」を正確に読み取ってもらいたいときに向いています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260325/140120260325588954.pdf
AnyMind Groupの中期経営計画スライドです。「2025年12月期 実績」「2026年12月期 業績予想」「2027年12月期 中期目標」の3列を左から並べ、それぞれに売上収益・売上総利益・営業利益の3つの箱を同じ位置で積んでいます。売上収益は573億円、791億円、1,050億円と、横に読むだけで伸びが分かります。実績の列だけ見出しの帯と数字をグレーにし、予想と目標の列は濃紺にしているので、どこから先が計画なのかが色で区別できます。列の間には薄いグレーの大きな矢印を置き、色数は紺とグレーだけに絞っています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260331/140120260331594346.pdf
ブロードエンタープライズの中期経営計画スライドです。中計の進捗を伝えるページで、「中期経営計画当初の予想から売上高・各段階利益ともに上方修正」という結論を見出しの下に大きく置いています。左の表が計画当初の予想(売上高74.8億円)、青い三角の矢印を挟んで、右の青枠の列が今回の修正予想(売上高100億円)です。当初の数字は細い黒の文字、修正後の数字はピンクの太い大きな文字で、同じ表の形のまま強弱だけを変えています。さらに右には、ストックオプションの行使条件として「FY2027までに2期合計経常利益25億円を達成」を添えています。

引用元:https://speakerdeck.com/kubell_hr/kubell
kubellの中期経営計画スライドです。こちらは数字を横ではなく、下から上へ積み上げています。下の2024年は薄いピンクの箱に「売上高成長率 30%以上 / EBITDA 3億円以上」、上の2026年はオレンジで塗りつぶした箱に「売上高 150億円 / EBITDAマージン 10-15%」。その間を「売上高 CAGR30%」の箱と上向きの矢印でつないでいます。左半分には「中小企業No.1 BPaaSカンパニーのポジション確立を目指す」という大きな見出しを置き、数字の目標と言葉の目標を1枚に同居させています。色はコーポレートカラーのオレンジ1色と、その薄い色だけです。
売上や利益の計画を棒グラフにして、伸び方そのものを見せる型です。数字を並べる型より正確さでは劣りますが、「どれくらいの勢いで伸ばすのか」はこちらのほうが一目で伝わります。実績と計画の境目をどう見せるかで、作り手の工夫が分かれます。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260330/140120260330592954.pdf
eWeLLの中期経営計画スライドです。2023年12月期から2028年12月期までの売上と営業利益を、濃い青と明るい青の2本の棒で並べ、上には営業利益率をピンクの点線で重ねています。実績の3期だけ背景を薄いグレーで塗り、グラフの下には「実績」「中計」と書いた左右の矢印を引いて、どこからが計画かを2重に示しています。計画期間には「CAGR +21.9%」と書いた楕円のラベルを斜めの線に乗せ、成長率をグラフの中で読めるようにしています。右端には資料の目次を縦に並べ、今いるページだけを青く塗っています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260327/140120260326590332.pdf
AVILENの中期経営計画スライドです。見出しは「2028年12月期に売上高40億、営業利益8.8億を目指す」と、目標をそのまま下線付きで言い切っています。左には売上高計画と営業利益計画の棒グラフを上下に重ね、2025年12月期の実績だけを濃いグレー、計画の3期をベージュにしています。どちらのグラフにも、薄い色から濃い色へ変わるグラデーションの矢印と「CAGR(年平均成長率)+33.7%」「+47.5%」の大きな数字を添えています。右側は「2025年実績の振り返り」「2026年計画の説明」「2027年-2028年計画の説明」の3段に分け、グラフの数字の根拠を文章で補っています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260325/140120260325588813.pdf
リブ・コンサルティングの中期経営計画スライドです。売上高と営業利益の2枚のパネルを並べ、どちらもFY20とFY25の棒をグレー、FY28の棒だけを赤にしています。棒には金額を書かず、伝えるのは成長率だけです。過去の「FY20~FY25 CAGR 23%」「56%」はグレーの小さな枠、これからの「FY25~FY28 CAGR 20%」「40%」は赤い枠で大きく掲げ、FY25とFY28の間には省略を表す波線を入れています。グレーから赤へ色が変わる太い矢印が、FY28の赤い棒を指しています。色はグレーと赤の2色だけで、目標の部分だけが赤く目に入ります。
中計の期間をいくつかの段階に分け、目標までの道のりを見せる型です。数字の目標だけでは「どうやってそこへ行くのか」が伝わりません。短期・中期・長期や、第1〜第3フェーズに分けて並べると、今どこにいて、次に何をするのかが整理されます。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20251127/140120251126509865.pdf
グッドパッチの中期経営計画スライドです。中長期ロードマップのページで、上に「短期 → 中期 → 長期」の帯を横いっぱいに引き、帯の色を左の水色から右の濃い青へグラデーションで変えています。帯の下は3列とも同じ形で、上の淡い青の箱にその期間のテーマ(「既存事業の安定的な収益拡大」など)、下のグレーの箱に具体的な取り組みを箇条書きで入れています。一番下には短期と中期の2列をくくる赤い点線を引き、「今期注力」と添えています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260317/140120260317583734.pdf
アライドアーキテクツの中期経営計画スライドです。上半分で上場維持基準への対応方針を説明し、下半分のグレーの帯に「基準適合に向けたロードマップ」を置いています。FY2025からFY2030までの4段が、リボンのように折り返しながら右上へ階段状に上がっていき、最後のFY2030だけが大きな矢印の形です。色は薄いピンクから濃い赤へ段ごとに濃くなり、各段には「実績」「計画」「目標」「基準」の小さな色ラベルが付いています。FY2025の「売上29.9億円」からFY2027の「売上50億円・OP5億円」へと、各段に数字の目標も書き込んでいます。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260327/140120260326589956.pdf
AlbaLinkの中期経営計画スライドです。背景一面に古い家屋の写真を敷き、空き家の事業であることを写真で伝えています。左下から右上へ白い矢印が伸び、その上に「第1フェーズ 創業期」「第2フェーズ 支店展開」「第3フェーズ 垂直展開」の青い円が並びます。右側は3段の帯で、それぞれのフェーズの説明を入れ、帯の右上に「2019年」「現在地」「2026-2030年目標」の小さなラベルを付けています。左上の白い箱には「空き家問題を総合的に解決する当社の中長期ビジョン」と大きく書き、3つのフェーズがどこへ向かうのかを先に示しています。
数字やグラフより先に、中計で何を目指すのか、どんな柱で進めるのかを言葉で見せる型です。資料の冒頭やビジョンのページで使われ、文字の大きさや色の使い方で、その会社らしさが最も出やすいページでもあります。「かっこいい中計資料」と言われるものの多くはこの型に入ります。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260325/140120260325588223.pdf
情報戦略テクノロジーの中期経営計画スライドです。黒い帯の見出し「中長期目標」の下に、「時価総額」「業績・財務」「ガバナンス」の3つの定性目標を、同じ大きさの薄いグレーの円で横に並べています。円の中にはローソク足のチャート、棒グラフ、チェックリストのアイコンを背景のように淡く描き、その上に目標の名前を太字で重ねています。それぞれの説明は円の下に2〜3行で中央ぞろえにし、色は黒・グレー・小さなオレンジのラベルだけです。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260331/140120260325589001.pdf
カヤックの中期経営計画スライドです。「中期的な方向性」として4つの方針を縦に並べ、「(1) ヒット確率とスケール可能性を高める戦略的投資で、成長を加速させる」のような見出しを、濃紺の帯に白抜きの大きな文字で入れています。マーカーを引いたような帯なので、本文がぎっしり詰まっていても見出しだけを拾い読みできます。方針の間は点線で区切り、背景には水色の細い斜線、下端には波とキャラクターのイラストを置いて、文字の多いページを硬く見せない工夫をしています。

引用元:https://www.septeni-holdings.co.jp/ir/library/Mp_presen_J_260212.pdf
セプテーニ・ホールディングスの中期経営計画スライドです。正直、このページを見たときは一本取られたと思いました。「VISION 2030」の青から赤へのグラデーションのラベルの下に、「VALUE MAXIMIZER」という英字を黒の極太で、ページの横幅の半分以上を使って置いています。その下には「2030年までに当期利益100億円を創出し」という目指す姿の一文。下半分は左から右へ広がっていく青紫から赤のグラデーションの帯で、点線で「中期経営計画|FY2026-2028」「2030年までに」「GROUP MISSION」の3つに区切られ、真ん中には「100億円創出」の大きな数字が入っています。右端では帯が事業ごとの層に分かれ、事業名が添えられています。
今回は「中期経営計画」の高品質なスライドを12つ紹介しました。
並べてみると、見やすい中計のスライドは型が違っても、過去・現在とこれからの計画をはっきり塗り分けている点が共通していました。実績はグレー、計画はブランドカラー。現在は薄い色、目標は濃い色。「ここから先が約束です」という境目が見えると、数字もロードマップも格段に読みやすくなります。
迷ったら、まず数値目標を並べる型で財務目標のページを作ってみてください。伸び方を印象づけたいなら成長グラフ、道のりを説明したいならロードマップ、資料の顔になるページなら方針・ビジョンを打ち出す型、と伝えたい中身に合わせて選ぶと迷いません。
まだもう少し別のデザインを見たい!と言う方は、中期経営計画のスライドデザイン一覧も参考にしてみてくださいね。
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