記事更新日:2026年08月25日
記事公開日:2026年08月25日
ピラミッド図は、SmartArtで3秒で出せてしまうぶん「とりあえず三角にしただけ」のスライドになりやすい図です。伝わるピラミッド図とそうでないものを分けているのは、装飾ではなくどの型で描くかを先に決めているかどうかです。
この記事では、実際に公開されている企業の資料からピラミッド図のスライドを4つの型に分類し、12枚を紹介します。すべて実物へのリンク付きなので、気になったものはスラデザで拡大して確認できます。
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同じ三角形でも、理念を積み上げる図と市場を切り分ける図では、必要な情報も配置も別物です。4つの型を、得意なことと向いている場面で並べました。自分の用途に近いところから読み進めてください。
| 型 | 得意なこと | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 階層型 | 抽象度の順番を1枚で示す | ミッション・ビジョン・バリュー、行動指針 |
| マーケット型 | どの層を狙うかを実数で示す | 市場規模、ターゲット市場、成長余地 |
| レイヤー解説型 | 段ごとの打ち手をまとめて載せる | 経営戦略、中期経営計画、人材育成 |
| 応用型 | 定石を外して主張を強める | 採用ファネル、等級制度、バリューの一覧 |
型は排他的ではなく、階層型に実数を足せばマーケット型に近づきます。まずは「順番を見せたいのか、大きさを見せたいのか」を決めてから、要素を足していくと迷いません。
ピラミッド図の一番の王道です。上に行くほど抽象度が高く、下に行くほど日々の行動に近い——この順番を形そのもので示せるので、パーパスやバリューのページで繰り返し使われています。
引用元:https://speakerdeck.com/mediaaid2021/mediaaid-company-deck-20250305
MediaAidのピラミッド図スライドです。この型の教科書といっていい1枚。三角はPURPOSE・MISSION・VISIONの3段だけで、色は紫の濃淡のみ。段ラベルは三角の中に置き、実際の文章はすべて三角の外、右側に流しています。上が短く下が長いという文章量に合わせて段の高さを変えているので、三角の広がりと説明の長さがぴったり一致しています。右上の「Philosophy」を画面からはみ出すサイズで置いて余白を埋めているのも効いた処理です。
引用元:https://ssl4.eir-parts.net/doc/3541/tdnet/2654007/00.pdf
株式会社農業総合研究所のピラミッド図スライドです。先ほどのMediaAidが3段だったのに対し、こちらは5段。段が増えると「VISIONとMISSIONはどう違うのか」が曖昧になりがちですが、英語ラベルの下に「経営目標」「経営方針」「行動指針」と役割名を添えることで解決しています。三角の後ろに段と同じ高さの淡いピンクの帯を敷いて、説明文を横一列に並べる構成も的確。最下段のMINDだけ白地に赤枠で反転させていて、理念ではなく日々の行動指針だという性質の違いが、読む前に伝わります。
引用元:https://speakerdeck.com/helloinc/company-deck
株式会社ハローのピラミッド図スライドです。ここまでの2枚が平面だったのに対し、こちらは円錐を4枚に輪切りにした立体表現。濃いチャコールの背景に金茶1色という配色で、段の違いは色ではなく光の当たり方だけで出しています。輪切りの間をわずかに空けているので、階層が4つあることが数えやすい。各段から細い引き出し線を右に伸ばし、先端に小さな丸を打ってから説明に渡す処理も丁寧です。立体ピラミッドは古臭くなりやすい表現ですが、装飾を足さず暗い背景に置くとここまで締まります。
市場やターゲットを大きさの順に切り分ける型です。階層型との一番の違いは、段のラベルに実数が入ること。IR資料の市場規模ページや成長戦略ページで最もよく見かけます。
引用元:https://ssl4.eir-parts.net/doc/4176/tdnet/2654223/00.pdf
株式会社ココナラのピラミッド図スライドです。大企業・中堅企業・個人/小企業という3段を、水色の濃淡だけで塗り分けた基本形。上ほど濃く、下ほど淡くしてあるので、層の大小と色の強さが一致しています。右には施策カードが3枚並び、見出し帯だけが濃紺、本文はグレー地。三角とカードは矢印ではなく点線でつないでいて、「どの層にどの打ち手か」を主張しすぎずに示しています。左が構造、右が打ち手、という左右の役割分担が明快です。
引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250623/140120250620595058.pdf
ウェルネス・コミュニケーションズ株式会社のピラミッド図スライドです。5段のうち上2段(Enterprise・Large)だけを濃紺とスレートグレーで塗り、下3段は淡いグレーに落として文字も細字にしています。狙っている層はここだ、という宣言が囲みも矢印もなしに成立している。塗った2段の横には従業員規模・企業数・従業員数が実数で並び、ピラミッドが印象の図ではなく市場推計の図になっています。右側の「約1,660万人 − 約174.4万人 = 約1,485万ID」も、答えの箱だけオレンジ地にしてあるので計算の結論を見失いません。
引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250616/140120250616590376.pdf
株式会社フーディソンのピラミッド図スライドです。ここまでの2枚が層に名前を付けていたのに対し、こちらは段の中に数字を主役として置いています。最上段が黒で「現在 4,657店」、中段が赤で「注力セグメント 12万店」、最下段がグレーで「全国 55万店」。現状・目標・母集団を3色で言い分けていて、色を見るだけで役割が分かります。うまいのは右斜辺に沿って走らせた赤い破線の矢印で、上の段と下の段の差そのものが「拡大余地」として読めるようになっている。面積比を正確に描かなくても、数字と矢印で十分に伝わります。
三角を左に寄せ、各段の説明を右に大きく取る型です。情報量は一番多くなりますが、段と説明が横一列で揃うので破綻しません。経営戦略や中期経営計画のように、レイヤーごとに施策がぶら下がる話に向いています。
引用元:https://f.irbank.net/pdf/20251219/140120251217521036.pdf
株式会社マクアケのピラミッド図スライドです。この型の最小構成。戦略・作戦・戦術・人的資本経営の4段を水色/ピンク/黄色/黄緑で塗り、そのまま右へ同じ高さの帯を伸ばして、帯の中に箇条書きを入れています。段と内容が完全に横並びなので、対応表を別に作る必要がありません。4色はどれも彩度が近く、順位ではなく「別のレイヤー」であることが伝わる配色。最上段だけ箇条書きではなく一文にしてあり、抽象度が上がるほど言葉が減るという構成が形からも読めます。
引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260331/140120260331594011.pdf
ナイル株式会社のピラミッド図スライドです。マクアケが段と帯だったのに対し、こちらは段そのものを右向きの矢印形にして、勢いを持たせています。斜めの図形の上に文字を置くと読みづらくなりますが、白い角丸のピルを重ねてその中にタイトルを書くことで、文字は水平に揃ったまま。段ごとに白いアイコンを1つ添えているので、読む前にどの事業の話かが目に入ります。三角の脇に「完了」「注力」の縦矢印を立て、実績と計画を同じ図の中で区切っているのも参考になる処理です。
引用元:https://www.septeni-holdings.co.jp/ir/library/Mp_presen_J_260212.pdf
株式会社セプテーニ・ホールディングスのピラミッド図スライドです。三角の輪郭を細い点線だけにして、中身は楕円の輪切りにしているのが最大の工夫。塗りを消したぶんの余白に、段と段をつなぐ上向き矢印を通せています。しかもその矢印の本数が下の段ほど多い。母集団が大きく上ほど絞られるという組織の形が、矢印の密度だけで伝わります。図の左に「あり続けたい姿」、右に「役員定年の引き下げ」「育成施策の企画・実施」というパネルを置き、ピラミッドを結論ではなく議論の中心に据えた構成も参考になります。
最後は、正三角形を1つ置くという前提そのものを崩した3枚です。ひっくり返す、2つ並べる、細かく割る。いずれも「普通の三角では言えないこと」があったからその形になっています。
引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250630/140120250630504752.pdf
株式会社TalentXのピラミッド図スライドです。応用型のなかでは最も定番の、頂点を下に向けた逆ピラミッド=ファネル。認知から採用までの6段のうち、自社が担う上3段だけを紫から青のグラデにし、一般的な採用活動にあたる下3段はグレーに落としています。範囲を指すのに矢印ではなく縦の角括弧を使っているので、段の境界を壊さずに2つのまとまりを囲めている。右の説明も、紫の側は黒文字、グレーの側はグレー文字と明度を変えてあり、同じ文字サイズでも主役が入れ替わりません。
引用元:https://speakerdeck.com/roxxrecurit/we-are-hiring
株式会社ROXXのピラミッド図スライドです。ピラミッドを2つ並べてジェネラリストとスペシャリストの道を描いた、等級制度のページ。1本の三角では「上に行くほど偉い」しか言えませんが、2つ並べたことで同じ高さでキャリアが分岐することを1枚で示せています。段を塗り分けるかわりに、左に「5-S / 4-AAA / 3-AA・A / 2-BBB・BB / 1-B」の目盛り軸を立てて点線を横に引くという解き方も見事。三角の形と等級の刻みが独立するので、あとから等級を増やしても図が破綻しません。色は蛍光イエロー1色です。
引用元:https://speakerdeck.com/cinchr/company-introduction
株式会社CINCのピラミッド図スライドです。20項目近い行動指針をピラミッドの形を保ったまま1枚に収めた力技。段をさらに横方向のセルに割り、上に行くほどセルの数を減らしています。同じ幅で等分するのではなくセル数そのものを減らしているので、上位ほど絞られている構造が見た目に出る。グループ名(HIGH VALUE/VALUE/BASE)は三角の外に細い引き出し線で逃がし、三角の中は項目名だけに保っています。全体がグレースケールで、上ほど濃くなる濃淡だけで階層を示しているのも潔い判断です。
今回は「ピラミッド図」の高品質なスライドを12つ紹介しました。12枚を通して見ると、優れたピラミッド図に共通しているのは三角の中に情報を詰め込んでいないことだと分かります。段の中に置くのはラベルか数字だけで、説明は必ず三角の外に出す。SmartArtの初期状態が文字を三角の中に入れてくるぶん、まずここを疑うだけで見え方が変わります。
手元のピラミッド図があるなら、まずは三角の中の文章を右側に出してみてください。そのうえで、順番を見せたいのか大きさを見せたいのかを決めれば、4つの型のどれを使えばいいかは自然に決まります。
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