記事更新日:2026年11月04日
記事公開日:2026年11月04日
決算説明資料、事業計画及び成長可能性に関する事項、中期経営計画といったIR資料は、投資家に会社の今と将来を伝えるための資料です。載せる内容はどの会社もおおむね共通していますが、同じ「業績」のページでも、数字の見せ方や強調のしかたで伝わり方は大きく変わります。
IR資料のデザインを紹介する記事の多くは、会社ごとに資料全体を並べています。この記事では、スラデザに掲載しているIR資料のスライド2,725枚(156社分)から、表紙・サマリー・業績推移・ビジネスモデル・成長戦略の5つのページを取り出し、ページの種類ごとに実在企業のスライドを3枚ずつ、計15枚選んで解説します。自社のIR資料で、作っているページに近いものから参考にしてください。
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IR資料は、多くの場合「表紙→サマリー→業績→事業の説明→成長戦略」の順に進みます。この記事もその順番で紹介します。まずはページごとの役割と、デザインで気をつけたいことを整理しておきます。
| ページ | 役割 | デザインで気をつけたいこと |
|---|---|---|
| ① 表紙 | 資料の名前・決算期・会社名を伝え、会社の印象を決める | コーポレートカラーや写真で会社らしさを出し、文字情報は最小限に |
| ② サマリー・ハイライト | その期の結果を1枚にまとめる。忙しい投資家はここしか読まないこともある | 数字を一番大きく。前年比や「過去最高」のような評価を数字のそばに |
| ③ 業績推移 | 売上や利益の伸びを、過去からの推移で見せる | 強調したい期だけ色を変える。結論は見出しかグラフ内の吹き出しに |
| ④ ビジネスモデル | 誰から、どうやってお金をもらっているかを説明する | 登場人物を左右に置き、お金とサービスの流れを矢印で |
| ⑤ 成長戦略 | これから何で、どう伸ばすのかを示す | 将来の伸びを形(曲線・積み上げ・矢印)で見せ、言葉は短く |
表紙には、資料の名前・決算期や日付・会社名を入れます。どの会社も入れる情報は同じなので、色・写真・イラストのどれで会社らしさを出すかで差がつきます。

引用元:https://speakerdeck.com/kubell/kubell-hui-she-gai-yao-zhong-qi-jing-ying-ji-hua
kubellのIR資料スライドです。「会社概要・中期経営計画」の表紙です。背景をコーポレートカラーのオレンジ1色で塗り、右側には少しだけ明るいオレンジで、上が丸い縦長の図形を高さを変えて並べています。左上に白い太字のタイトル、その下に社名と証券コード、左下に白いロゴ。写真もイラストも使わず、色と図形だけで構成しています。

引用元:https://corporate.jp.sharp/ir/event/policy_meeting/pdf/25meeting_j.pdf
シャープのIR資料スライドです。「FY2024決算 及び FY2025-2027中期経営計画」の表紙です。ビルを背景に、遠くを見上げる女性の写真をスライド全体に敷いています。左側にはコーポレートカラーの赤い縦長の帯を置き、その右に白い文字でタイトルと「SHARP Corporation 2025.05.12」。右上には赤いロゴを置いています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250331/140120250327501647.pdf
カヤックのIR資料スライドです。「事業計画及び成長可能性に関する事項」の表紙です。薄いグレーの背景に、道具や動物などの小さな線画のイラストを模様のように敷き詰め、中央に黒の太い文字で「面白法人カヤック」と大きく置いています。左にはロゴの黒い舟に緑の葉の野菜を添えた図形、右下には3人のキャラクターのイラスト。資料名・日付・社名と市場区分は、その下に小さくまとめています。
サマリーは、その期の結果を1枚にまとめるページです。数字を一番大きくし、前年比や「過去最高」のような評価を数字のすぐそばに置くと、細かい説明を読まなくても結果が伝わります。

引用元:https://ssl4.eir-parts.net/doc/9166/ir_material_for_fiscal_ym/152154/00.pdf
GENDAのIR資料スライドです。通期決算のハイライトです。白い角丸の箱を3つずつ2段に並べ、「120%」「126%」「108%」「273店舗」「170件」「0.8x」といった数字をゴールドの太字で大きく入れています。上の段の箱には「過去最高売上高」「過去最高営業利益」と書いたリボン型のラベルを付け、下の段の箱には補足の数字を入れた小さなラベルを添えています。スライド全体をゴールドの枠で囲み、色はゴールドと黒にそろえています。

引用元:https://ssl4.eir-parts.net/doc/156A/tdnet/2509598/00.pdf
マテリアルグループのIR資料スライドです。「At a Glance(2024年8月期のハイライト)」のページです。赤い背景に白い箱を6つ並べ、「53億円」「37億円」「8.1億円」「152名」などの数字を黒の極太の文字で入れています。それぞれの箱の右側には家の形をしたグレーの図形があり、その中に「+13.4%」のような成長率を入れています。上の段は連結の数字、下の段は子会社ごとの数字に分け、受賞歴はロゴで見せています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250624/140120250624597306.pdf
ステムセル研究所のIR資料スライドです。「2025年3月期 P/Lサマリー」のページです。左に前期と当期を比べた損益の表を置き、当期の列だけを濃い紺の見出しと太字にしています。右には白い箱を3つ縦に重ね、一番上に「売上高・各段階利益 過去最高」、その下に「売上高(対前期比)+8.0%」「当期純利益(対前期比)+24.1%」を、赤い大きな文字で書いています。
業績推移は、売上や利益を過去から並べて見せるページです。強調したい期だけ色を変える、結論を吹き出しや見出しに書くのどちらかを入れると、グラフから読み取ってほしいことがはっきりします。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260331/140120260331594044.pdf
GMOメディアのIR資料スライドです。2015年から2025年までの営業利益の棒グラフです。過去の期は薄いグレー、直近3期(533・762・901百万円)だけを濃い紺にして、棒の上に数字を入れています。2020年のマイナスの期もそのまま載せ、右には赤い円の吹き出しで「3期連続 過去最高益を更新!」と書いています。見出しの下の説明文にも、前年比+18.2%と3期連続の過去最高益であることを書いています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250616/140120250616590376.pdf
フーディソンのIR資料スライドです。「創業からの売上高および売上総利益推移」のページです。FY14/3からFY25/3まで12期分を、売上高は赤、売上総利益は黒の棒で並べています。棒の上に数字は入れず、最新の期の右側にだけ「売上高 6,866百万円」「売上総利益 2,452百万円」を大きく書いています。見出しの下には「2013年の創業以来プラットフォームを拡大し、12期連続増収を達成」とあります。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250331/140120250331504661.pdf
INFORICHのIR資料スライドです。モバイルバッテリーのシェアリングサービス「ChargeSPOT」の国内での成長を示したページです。2018年6月から2024年12月までの設置台数を水色の棒グラフ、台あたりのレンタル数を黒の折れ線グラフで重ねています。グラフの上には「ChargeSPOTローンチ」「首都圏鉄道に展開開始」「テレビCM放映」「主要コンビニに展開」「自動販売機モデルを展開開始」「月間190万レンタル突破」といった出来事をグレーの箱で書き込み、線でグラフの時期につないでいます。一番下には「設置拡大期」「設置プロトコルの精査期」「再拡大期」の3つの時期を矢印型の帯で示しています。
ビジネスモデルは、誰から、どうやってお金をもらっているかを説明するページです。登場人物を左右に置き、自社を中央に置いて、サービスとお金の流れを矢印で示す形が基本です。

スペースマーケットのIR資料スライドです。「プラットフォームの構造」のページです。左に「ゲスト」、右に「ホスト」をそれぞれ人物写真の丸で置き、中央に自社のサービス画面を入れた大きな円を置いています。両側をつなぐ矢印には「①掲載」「②検索」「③予約」「④決済」のように番号を付け、取引の順番が追えるようにしています。ゲスト側には「利用料の5%」、ホスト側には「利用料の30%」と、手数料の割合を緑の箱で示しています。

クラダシのIR資料スライドです。「Kuradashiの特徴的なビジネスモデル」のページです。オレンジの大きな角丸の面の上に、白い円を3つ横に並べ、左から「サプライヤー」「ソーシャルグッドマーケット Kuradashi」「消費者」としています。それぞれの円には、得られるもの(在庫の再流通、フードロス削減、コスパ良く買える等)を箇条書きで入れています。その下には赤い下向きの矢印を置き、最後に「社会貢献活動」の帯で、売上の一部が寄付や基金の活動資金になることを示しています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250618/140120250618592611.pdf
yutoriのIR資料スライドです。「事業系統図」のページです。左から「製造」「商品企画開発」「販売」の3列の見出しを並べ、製造は外部の「商社・サプライヤ」としてグレー、自社グループが担う商品企画開発と販売の一部だけを緑の太い枠で囲んでいます。中央の枠には「本社」と、yutori・heart relation・えをかくのロゴ、右の販売の列には「自社EC」「店舗POPUP」「他社EC」「卸販売」を並べ、矢印で右端の「消費者」へつないでいます。
成長戦略は、これから何で、どう伸ばすのかを示すページです。まだ実績のない将来の話なので、数字よりも曲線や積み上げ、矢印といった形で伸びるイメージを見せる会社が多くなっています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250625/140120250625598827.pdf
CYNDのIR資料スライドです。「これまでの成長と今後の拡大イメージ」のページです。左下から右上へ反り上がる曲線の面を3層に重ね、一番下の濃い紺を「SaaS」、その上の中くらいの青を「リテールメディア」、一番上の薄い青を「決済」としています。各層には細い線を引いて、大きな黒い文字のラベルにつないでいます。グラフの目盛りや数字は入れず、上の白い帯に「収益基盤の多層化を構築することでさらなる成長を図る」と書いています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250630/140120250630504783.pdf
ZUUのIR資料スライドです。「中長期の成長イメージ」のページです。2019年3月期から右へ、赤い「プラットフォーム事業」の面と、その上に重なる青い「トランザクション事業」の面が大きくなっていきます。曲線の上には「メディアへの投資」「BtoB(コンサル、SaaS)の開始」「送客による広告事業の拡大」「中心戦略として金融トランザクション創出へ」「金融取引の小口化」と書いた白い円を、少しずつ高い位置に並べ、それぞれ矢印で時期を示しています。

タイミーのIR資料スライドです。「FY25/10 戦略方針」のページです。スライドのほとんどを黄色の面にし、中央に黒い四角で「圧倒的No.1」と白抜きの大きな文字を置いています。その左下から白い太い矢印を上・右・右上の3方向に伸ばし、縦の矢印の横に「はたらく機会を『タテ』に広げる」(AA当たり流通総額)、横の矢印の上に「はたらく機会を『ヨコ』に広げる」(AA数)、右上の矢印の先に「はたらく機会を『最大化』する」(稼働率)を配置しています。右端には「+『非連続成長』を生み出す」(新規事業)を加えています。それぞれの方針の下には、対応する指標を黒い箱で添えています。
今回は「IR資料」の高品質なスライドを15つ紹介しました。
IR資料は、表紙で会社の印象を決め、サマリーで結果を1枚にまとめ、業績推移で伸びを見せ、ビジネスモデルで仕組みを説明し、成長戦略で将来を示す、という流れでできています。ページごとに伝えることがはっきり分かれているので、ページの種類ごとに参考にする資料を変えてかまいません。
15枚に共通しているのは、色を使う場所をしぼっていることです。強調したい期の棒、自社が担う範囲、結論の数字など、見てほしいところにだけコーポレートカラーを使い、ほかはグレーや白にしています。まずは自社の資料で、色を使う場所を1ページに1か所に決めることから試してみてください。
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