記事更新日:2026年10月30日
記事公開日:2026年10月30日
競合と比べて自社がどこにいるのかを1枚で見せたいとき、よく使われるのがポジショニングマップです。縦軸と横軸を引いて自社と競合を置くだけの図ですが、実際の資料を並べてみると、自社の示し方、競合の見せ方、軸の作り方は会社によってかなり違います。
ポジショニングマップの解説記事の多くは、軸の決め方や架空の例を使った作り方が中心です。この記事では、スラデザに掲載しているポジショニングマップのスライド66枚をすべて見比べて5つの型に分け、実在企業のIR資料やサービス紹介資料から15枚を選んで、デザインの面から解説します。
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どの型も「2本の軸」「自社」「比べる相手」の3つでできています。違いが出るのは、自社を点で置くか面で置くか、軸を言葉で決めるか数字で決めるか、そして今の位置だけを見せるか、これから動く先まで見せるかです。
| 型 | 得意なこと | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ① 4象限に円を置く王道型 | 誰が見てもすぐ読める。作るのが一番簡単 | サービス紹介資料・営業資料の「他社との違い」 |
| ② 自社の領域を色で塗る型 | 1点ではなく、自社が押さえている範囲の広さを示せる | 事業計画及び成長可能性に関する資料・競合優位性の説明 |
| ③ 格子に区切って書き込む型 | 象限ごとに中身(競合名・事業名)を言葉で書ける | 市場の区分けを説明したいとき・事業ポートフォリオ |
| ④ 実データで描く散布図・バブル型 | 数字や調査結果が根拠になるので説得力が出る | 決算説明資料・中期経営計画・ブランド調査の報告 |
| ⑤ 矢印で動きを示す型 | 今の位置と、これから目指す位置の両方を見せられる | 成長戦略・サービスの乗り換え提案 |
縦軸と横軸で4つの象限をつくり、自社と競合を円で置く、最も基本の型です。自社の円だけ色を変える、自社の円を大きくするのどちらかで、読み手の目は自社に向かいます。

引用元:https://speakerdeck.com/rakko/introduction
ラッコ(ラッコキーワード)のポジショニングマップスライドです。縦軸に「コスト:高/低」、横軸に「機能:少/多」を取り、軸の両端に黒い角丸のラベルを置いています。A社・B社・C社と無料ツールは白い円にグレーの線で控えめに描き、自社のラッコキーワードだけを右下(機能が多く、コストが低い)に青く塗った大きな円で置いています。見出しの「課題を解決する充実の機能を低価格で」の部分も同じ青で、図と見出しが同じことを言っています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250624/140120250624597380.pdf
クリアルのポジショニングマップスライドです。不動産クラウドファンディング業界のマップです。縦軸は「累計調達額 多/少」、横軸は「アセットタイプ 特定領域特化/多様」。右上の自社はロゴを入れた淡い水色の円で、下側の「中古区分主体の事業者」「総合不動産事業者」は濃紺の円です。自社を淡い色、競合を濃い色にしている珍しい組み方ですが、自社の円だけにロゴが入っているので、どれが自社かはすぐに分かります。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20251219/140120251217521036.pdf
マクアケのポジショニングマップスライドです。縦軸は「新商品(0次流通市場)/量産品(1次流通市場)」、横軸は「ファンディング(資金調達)/ECマーケティング」。4つの象限のうち、使っているのは3か所だけです。左上に小さく薄いグレーの「クラウドファンディングサービス」、右下に大きなグレーの「ECマーケットプレイス」、右上に白地を水色の線で縁取り、ロゴを入れた自社の円。残りの左下は何も置かず、空いたままにしています。
自社を1つの円ではなく、色を付けた面や枠で示す型です。自社が押さえている範囲の広さや、ほかの会社が入ってこられない領域を見せたいときに向いています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260330/140120260330592954.pdf
eWeLLのポジショニングマップスライドです。訪問看護向けのサービスを、横軸「汎用性/専門性」、縦軸「経営支援/特定業務支援」で整理しています。競合の介護レセプトベンダー・大手医療システムベンダー・短機能型ベンダーはグレーの箱で示し、それぞれの下に青い丸(できること)と赤い丸(足りないこと)で短い注記を付けています。右上の自社の箱は、ピンクのL字の帯「競争優位性の堀(Moat)」で外側を囲んでいます。

引用元:https://www.release.tdnet.info/inbs/140120260317583734.pdf
アライドアーキテクツのポジショニングマップスライドです。縦軸は「戦略・上流支援/施策実行・運用」、横軸は「顧客規模 小/大」。戦略コンサルティングファーム、総合広告代理店、デジタル広告代理店、フリーランスコンサルタントの4つを薄いグレーの角丸の四角で少しずつ重ねて置き、自社だけを赤い線の縦長の枠にして、上流から実行まで縦に貫いています。右側には「当社の競合優位性」と、カテゴリ別に当社との差を書いた表を並べています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260327/140120260326590677.pdf
インフォメティスのポジショニングマップスライドです。電力データのAI技術を比べたマップです。縦軸は「高精細(1秒以下)/簡易(30分値)」、横軸は「センサーとの一体型/ソフトウェアのみ」。右上の象限だけを淡い緑で塗り、そこに自社の「高精細NILM × スマートメーター」を置いています。競合は「A社(ベルギー)」「B社(アメリカ)」のように国名を添えた文字だけで示しています。左端の大きな緑の円の「グローバル競合技術比較マップ」が、この図のタイトルを兼ねています。
マップを表のような格子に区切り、マスの中に名前を書き込む型です。円の位置で細かい差を見せるより、市場をいくつかの区分に分けて、どこが空いているかを説明したいときに向いています。

引用元:https://speakerdeck.com/kubell_hr/kubell
kubellのポジショニングマップスライドです。3列×2行の格子です。列は大企業・中堅企業・中小企業で、上に「価格 高→低」、下に「汎用性 低→高」の矢印。行は「オペレーションによる最適化」と「システムによる最適化」で、左に「労働集約性」、右に「導入ハードル」の矢印を付けています。マスにはオーダーメイド型BPO、クラウドソーシング、オンプレミス型システム、IaaS/PaaS、SaaSが入り、右上の中小企業×オペレーションのマスだけをオレンジの枠で囲んで「ホワイトスペース」「BPaaS」と書いています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250623/140120250620595138.pdf
ハンモックのポジショニングマップスライドです。縦軸は「フロント(営業部門)/バック(管理・業務部門)」、横軸は「大企業/中小企業」。背景をピンク・水色・緑の3本の横帯に塗り分け、それぞれ右端に「セールスDXソリューション」「AIデータエントリーソリューション」「ネットワークソリューション」のラベルを付けています。A社〜F社の6つの枠は、置かれた帯と同じ色の線で描いています。右上のロゴから点線を伸ばし、マップ全体を囲んでいます。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250618/140120250618592611.pdf
yutoriのポジショニングマップスライドです。競合ではなく、自社の事業を並べたポートフォリオのマップです。縦軸は「Y世代/Z世代」、横軸は「Men/Women」。白い枠を格子状に並べ、新規事業・デザイナー事業・Her lip to事業・韓国事業・ニュアンス事業・ヤングカルチャー事業・IP事業・コスメ事業ごとに、ブランドのロゴをそのまま入れています。見出しでは「Z世代向けアパレル事業」「コスメ事業、IP事業」の部分を緑の文字にしています。
軸に実際の数字や調査結果を使う型です。感覚で置いたマップより根拠がはっきりするので、決算説明資料や中期経営計画のように、数字で説明したい資料に向いています。

引用元:https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/20230328537851/
AnyMind Groupのポジショニングマップスライドです。横軸に売上総利益率(%)、縦軸に売上総利益の前年比成長率(%)を目盛り付きで取り、事業ごとの円を置いています。円の大きさは売上総利益の規模です。D2Cはオレンジの小さな円(FY22 YoY成長率118%)、パートナーグロースは青、マーケティングは赤の大きな円。連結の売上総利益率37.5%と成長率48.1%のところに点線を十字に引き、各事業が連結の平均より上か下かを読めるようにしています。

引用元:https://corporate.jp.sharp/ir/event/policy_meeting/pdf/25meeting_j.pdf
シャープのポジショニングマップスライドです。縦軸は「市場の成長性」、横軸は「事業の収益性」。ES・SAS・MC・CS・TVS・WSといった事業をアルファベットの略称を入れた円で置き、円の大きさを売上規模にしています。淡い色の円が現在の位置、濃い色の円が3年後の位置です。スマートライフ(赤)とスマートワークプレイス(紺)の2つのビジネスグループを大きな円で描き、点線の矢印で右上へ向かう方向を示しています。左には2つのグループの説明を、同じ赤と紺の見出しで並べています。
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引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260331/140120260319585769.pdf
バルミューダのポジショニングマップスライドです。ブランドイメージの調査結果を、コレスポンデンス分析の散布図で見せたマップです。軸には-1.0〜0.4の数値が入り、上に「廉価」、下に「高価」、左に「情緒」、右に「機能」のラベルを付けています。自社は赤いラベルの「BALMUDA」で、周りに「デザイン性にすぐれている」「ワクワクさせてくれる」の項目が集まっているところを淡いピンクの円で囲み、2つの項目は赤い枠で強調しています。競合他社は黒いラベルで、右側の機能寄りのあたりに固まっています。
今の位置からどこへ移るのかを矢印で見せる型です。顧客に乗り換えを提案したいときや、成長戦略でこれから狙う位置を示したいときに使えます。

Crisp Code(ties)のポジショニングマップスライドです。顧客・案件管理システム「ties」のサービス紹介資料のマップです。縦軸は「自由度 高/低」、横軸は「費用大/費用小」。左上に「エンタープライズ向けSaaS」、左下に「業種特化型ソフトウェア」の点線の枠を置き、それぞれにSFA・CRMの小さな箱を入れています。2つの枠から青い矢印が、右上の実線で囲んだtiesのロゴへ伸びています。色は紺1色で、背景は薄いグレーです。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260331/140120260331594489.pdf
GMO TECHホールディングスのポジショニングマップスライドです。アフィリエイト事業を「媒体」と「広告主」の2つのマップに分けて横に並べています。媒体側の縦軸は「リワード型広告/ノンインセンティブ型広告」、横軸は「海外/国内」で、広告主側の縦軸は「アプリ案件/WEB案件」。どちらも自社の今の位置を「GMO TECH」の青い円で置き、そこから「韓国中心に展開」「媒体獲得を強化」といったこれから狙う位置へ、淡い青の帯と矢印を伸ばしています。競合はA〜F社の白い円です。

引用元:https://speakerdeck.com/hopin/whats-dx
Hopinのポジショニングマップスライドです。競合との比較ではなく、自社の考え方を2軸で説明したマップです。縦軸は「情報の透明性が高い/情報の非対称性が大きい」、横軸は「事業の不確実性が大きい/事業の解像度が高い」。グレーの「1st」から右の「2nd」へ、さらに上の青い「DX」へと矢印で進み、DXを2段階で説明しています。右側には「何が間違っていたかすぐ分かる」「すべての施策の投資対効果が分かる」の2つの説明を並べています。
今回は「ポジショニングマップ」の高品質なスライドを15つ紹介しました。
どの型を選ぶかは、何を根拠に自社の位置を決めているかで考えると決めやすくなります。営業資料で他社との違いを短く見せたいなら①の王道型、自社の範囲の広さを見せたいなら②の領域を塗る型、市場の区分けを説明したいなら③の格子型が向いています。数字や調査結果があるなら④の散布図・バブル型、これからの戦略を見せたいなら⑤の矢印の型を選びましょう。
どの型でも共通しているのは、色を使うのは自社だけにして、競合はグレーや白抜きで控えめに描いていることです。まずはこの1点から試してみてください。
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