記事更新日:2026年08月24日
記事公開日:2026年08月24日
折れ線グラフは、Excelで作った初期状態のまま資料に貼られてしまうことが最も多い図です。線が細く、色が3本とも似ていて、凡例がグラフの下に小さく並んでいる——その状態でも数字自体は正しいので、そのまま提出されてしまいます。
ただ、実際に公開されている企業資料を眺めると、読みやすい折れ線グラフには共通した型があります。この記事では、スラデザに集まった実物のビジネス資料から折れ線グラフのスライドを5つの型に分けて15枚紹介します。印象ではなく形で分けているので、「自分がいま作りたいグラフはどれか」から逆引きできます。
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本題に入る前に、この記事で扱う5つの型を整理します。同じ折れ線でも、伝えたいことによって選ぶべき形は変わります。
| 型 | 得意なこと | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ① 成長カーブ型 | 1本の線で「伸びの形」だけを見せる | 社員数・契約数の推移、沿革、ビジョン |
| ② 棒+折れ線の2軸複合型 | 実額(棒)と率(線)を1枚で両立させる | 決算説明、KPI報告、業績ハイライト |
| ③ 多系列比較型 | 複数の対象を同じ土俵で比べる | 市場環境、競合比較、日米比較 |
| ④ 面で塗る型 | 線の下を塗って量の厚みを感じさせる | 市場規模、事業ポートフォリオの拡大 |
| ⑤ 注釈で語らせる型 | 「なぜそう動いたか」を線の上に書く | 沿革、中期経営計画、社会課題の説明 |
線を1本に絞り、比較でも内訳でもなく「伸びていること」そのものを伝える型です。線が1本なら凡例も色分けも不要になるので、スライドから要素が一気に減ります。

引用元:https://speakerdeck.com/smartcamp/sumatokiyanpuzhu-shi-hui-she-hui-she-shao-jie-zi-liao
スマートキャンプ株式会社の正社員数推移スライドです。成長カーブ型の基本形として、まずこの1枚を見てほしいと思います。使っている色は深い緑1色だけ。線とマーカーが同じ色で、11年分すべての点に人数(1→3→7→18…206)が置かれています。背景の罫線は横線だけで、しかも極めて薄いグレー。縦の罫線は引かれていません。スライド上部の見出しも「正社員数推移」の6文字だけで、装飾らしい装飾は何もありません。

引用元:https://speakerdeck.com/micoinc/mico-career-deck-japan
株式会社Micoの成長戦略スライドです。前の1枚とは対照的に、縦軸も横軸も目盛りも一切ありません。青い直線が左下から右上へスライドを斜めに貫き、画面の外まで伸びています。線の上に置かれた点は3つだけで、2021年・2022年・2023年の組織状態(R&Dチームの人数、国籍数、プロダクト数、資金調達ラウンド)が黒い太字で並びます。強調は「Series A Round」「Series B Round」の蛍光イエローだけに絞られ、右上の終点には数値ではなく「beyond」と書かれています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260331/140120260331594348.pdf
株式会社スペースマーケットの沿革スライドです。全社総取扱高の推移を緩やかなS字カーブで描き、直近の2025年4月から先だけを点線に切り替えています。上部には「創業期」「市場創造期」「市場拡張期」の3つのフェーズが角丸のラベルで並び、点線の縦仕切りでカーブと対応づけられています。カーブ上の各点からは縦の引き出し線が伸び、サービスロゴと出来事が添えられます。金額の節目だけはギザギザの円バッジで「20億円突破」「50億円突破」と目立たせ、縦軸の目盛りは置いていません。
売上(棒)と利益率(線)のように、単位の違う2つの指標を1枚に重ねる型です。決算説明資料で最も多く見かける形で、線をどう脇役に回すかが読みやすさを決めます。

引用元:https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/20250612588455/
株式会社スマレジの業績スライドです。2軸複合の教科書と呼びたい構成になっています。売上高(明るい青)と営業利益(濃紺)を2本1組の棒で5期分並べ、営業利益率は黒い線と黒い丸マーカーで重ねています。ブランドカラーを棒に割り当て、線は無彩色に振っているので、両者が色でぶつかりません。左上には黒い矢羽根で「過去5年間の売上高CAGR 35.1%」、右側にはFY2025のYoY「+32.0%」「+36.9%」が特大サイズで置かれ、グラフを読まなくても結論が取れます。棒の足元には「個別」「連結」のグレー帯があり、集計範囲が途中で変わったことも示されています。

株式会社Photosynthの業績スライドです。16四半期分の積み上げ棒(サブスクリプション売上とその他)に、粗利率のグレーの線を重ねています。ここで注目したいのは粗利率のラベル配置で、16個の数値が線の上と下に交互に置かれています。四半期グラフは点の間隔が詰まるためラベル同士が重なりやすいのですが、上下に振り分けることで16個すべてが読めます。直近の78.2%だけが黒の太字になっており、視線の着地点も決まっています。スライド左半分は「粗利率」「今後の粗利率の見通し」の文章に充てられ、グラフは右半分に収まっています。

引用元:https://ssl4.eir-parts.net/doc/6579/tdnet/2398825/00.pdf
ログリー株式会社の業績スライドです。インプレッション数の棒を淡い水色、CTRの線を薄いグレーで描き、最新の3Qの棒だけを濃紺にしています。数値ラベルは1つも置かれておらず、目盛りもありません。「インプレッション数は減り、CTRは上がった」という逆方向の動きは形だけで読み取れるので、数字は下の箇条書きに任せる、という割り切りです。グラフの下には「インプレッション数:impression 広告の表示回数」「CTR:Click Through Rate」と用語の定義が小さく添えられています。
2本以上の線を並べ、差そのものを見せる型です。線が増えるほど凡例と色の扱いが難しくなるため、3枚とも「凡例をどう処理したか」に注目して見てください。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250328/140120250328502738.pdf
株式会社ウィルズの日米比較スライドです。S&P500(赤)と日経平均株価(紺)という、そのままでは単位も水準も違う2つを、1983年9月を100として指数化することで同じ縦軸に載せています。凡例はグラフの下ではなく内側の左上、線の始点のすぐ近くに置かれています。上部には「過去40年間で30倍の成長をみせるS&P500に対し、日経平均株価の成長率は4倍」と結論が2行で書かれ、下部には終値ベースであることや出所が注記されています。

引用元:https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/20230703516915/
AeroEdge株式会社のターゲット市場スライドです。左右に2つのグラフを並べ、どちらにも紺の見出し帯・説明文・出典という同じ枠組みを与えています。左は旅客需要の3系列(業界全体・国際線・国内線)を2019年=100%として指数化したもの。右は月次の引渡機数で、線が激しく上下するため、そのままではトレンドが読めません。そこで薄い緑の太い帯を2本、線を覆うように斜めに重ねて「どちらも右肩上がり」であることを示しています。凡例はどちらもグラフの左上に小さく置かれています。

引用元:https://ssl4.eir-parts.net/doc/3688/ir_material_for_fiscal_ym8/150146/00.pdf
株式会社CARTA HOLDINGSのターゲット市場スライドです。1991年から2022年までの広告費を8系列で描く、多系列の極北のような1枚。ここでは凡例そのものが廃止され、代わりに「地上波テレビ」「新聞」「ラジオ」「雑誌」といった系列名が、線と同じ色で塗られた角丸ラベルになって画面の中に配置されています。各ラベルからは細い引き出し線が該当の線まで伸びています。そして主役であるインターネット広告だけが黒く太い線で描かれ、他の7系列より明らかに手前に見えます。集計方法が変わる前の区間は点線で描き分けられ、横軸の下には「改定」の位置が示されています。
線の下を塗りつぶして厚みを持たせる型です。細い線だと弱く見える場面でも、面にすると量として伝わります。塗った面の上が余白になるので、ロゴや注釈を載せられるのも利点です。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250625/140120250625598827.pdf
株式会社ビースタイルホールディングスの市場規模スライドです。女性労働者数の推移を、上が濃く下に向かって白へ抜けるグラデーションの面で描いています。数値ラベルは始点の「2,600万人」と直近の「3,000万人」の2つだけ。縦軸の目盛りはなく、横軸は5年刻みです。20年分のデータがありながら読む数字は2つしかないので、増えたという事実だけが残ります。右側には年代別の帯グラフが並び、面グラフとは役割が分けられています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250624/140120250624597522.pdf
株式会社イノベーションの成長の軌跡スライドです。前の1枚が単層だったのに対し、こちらは4層の積み上げ面。下から「オンラインメディア」「ITソリューション」「金融プラットフォーム」「VCファンド」と事業が積み上がり、各層の右端に事業名が置かれています。青→水色→薄い水色→黄色と、同系色の明度差で層を分けているので、4層あっても賑やかになりません。面の上の余白にはサービスのロゴが並び、縦の引き出し線でリリース年に接続されています。数値は一切ないので、右下に「(イメージ図)」と明記されています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20250623/140120250620595138.pdf
株式会社ハンモックの成長戦略スライドです。1995年から2026年の計画までの売上高推移を、濃い緑のベタ塗りで描いています。塗りが濃いぶん面の上が広い余白になり、そこに製品ロゴを開始年ごとに並べています。面の上には矢印が2本重ねられ、白い矢印には「経営基盤確立期」、黄色い矢印には「成長期」と、期間の性格が書き分けられています。落ち込んだ谷には白いピル型のラベルで「リーマンショック」「コロナ禍」と外部要因が置かれ、右端の到達点には「5,119」の数字。1枚で沿革・製品history・外部環境の3つを兼ねています。
線の形だけでは「なぜそう動いたか」は伝わりません。吹き出しや矢印を線の上に載せて、数字と理由をセットで見せるのがこの型です。

引用元:https://speakerdeck.com/reiwatravel_0405/reiwatravel-company-deck
株式会社令和トラベルのターゲット市場スライドです。1980年から2021年までの出国人数を、緑の細い線1本で描いています。注釈はたった2つ。ピンクの吹き出しで最高値の「2019年過去最高 2,000万人」、青い吹き出しで最低値の「2021年コロナ禍 51万人」を指しています。好調をピンク、悪化をブルーと色で性格を分けているため、吹き出しの中身を読む前に状況が伝わります。グラフの見出しには「出国人数は基本的に右肩上がり」と結論が書かれており、コロナ禍の谷を隠さずに主張を通しています。

引用元:https://f.irbank.net/pdf/20260331/140120260331594489.pdf
GMO TECHホールディングス株式会社の沿革スライドです。売上を紺の棒、営業利益を水色の線で描き、スライドの上半分を12個の吹き出しで埋めています。これだけ注釈が多いと散らかりそうなものですが、吹き出しがすべて「白地+青い枠線+角丸」で統一され、年号だけが大きく本文が小さいため、視線は年号から年号へ流れていきます。各吹き出しからは縦の引き出し線が該当年まで下りています。2026年の棒だけは薄いグラデーションで塗られ「(予想)」と添えられており、実績と予想が塗りの濃さで区別されています。

引用元:https://speakerdeck.com/roxxrecurit/we-are-hiring
株式会社ROXXのニーズ・課題スライドです。労働需要(紺)と労働供給(ピンク)の2本を引き、開いていく差を紫の棒で示しています。この1枚が巧いのは、主役が線でも棒でもなく「2本の間が広がっていくこと」だと分かっている点です。差の領域全体を、左上から右下へ向かう巨大なピンクのグラデーション矢印が覆っています。矢印は半透明なので下の線を消しません。数値ラベルは不足側だけに振られ、両端に「約13万人」「約1,100万人」。右半分はグラフを置かず、薄い地図を背景に結論を大きな文章で置いています。
今回は「折れ線グラフ」の高品質なスライドを15つ紹介しました。伸びだけを見せたいなら①成長カーブ型、実額と率を両立させたいなら②2軸複合型、複数を比べたいなら③多系列比較型、量の厚みを出したいなら④面で塗る型、動いた理由まで語りたいなら⑤注釈型。Excelの初期状態から手を入れるときは、装飾を足す前に「どの型で見せるか」を先に決めると、直す場所がはっきりします。
スラデザにはこのほかにも折れ線グラフのスライドが多数掲載されています。実際の資料から探したい方は、下のボタンから一覧をご覧ください。
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